2013UEFAチャンピオンズリーグ決勝戦は、ドイツ勢同士の戦いとなった。
名門バイエルン・ミュンヘンVS復活した名門ボルシア・ドルトムントの戦いとなった。
結果は、バイエルン・ミュンヘンが2-1で勝利したが、ボルシア・ドルトムントの快進撃は世界中を驚かせたのは間違いないだろう。
ご存じの方もいるだろうが、ボルシア・ドルトムントは一時、経営危機に陥ったことがある。
2005年、株式上場をしていたボルシア・ドルトムントであったが、その経営戦略が裏目に出て120mユーロもの借金額を抱えてしまったのであった。
その際、会長、最高責任者を解雇し、赤字補填のためにスタジアムの命名権を売却したのであった。
その時に命名権を買ったのがドイツの大手保険会社である「ズィグナル・イドゥナ」であったため、スタジアムの名前が「ズィグナル・イドゥナ・パルク」となったのである。
しかし、スタジアムの命名権売却のみでは赤字を返済できるわけもなく、多くの主力選手を売却したのであった。
そこから、ドルトムントは厳しいシーズンを過ごすことになるのだが、
転機は「現代サッカーにおける最高の監督の一人」とも呼べるユルゲン・クロップの監督就任であった。
ユルゲン・クロップがドルトムントにやってきたのは2008年であった。
もちろん、その時点で借金を返済できていたわけではなく、リーグの有力選手を獲得してチームを強化することはできなかった。
そこで、ドルトムントは「育成」をキーワードに、若手選手を獲得することに徹したのである。
ユルゲン・クロップが選手を獲得する際に、注目する選手の特徴がある。
1.若くスタミナのある選手
2.スピードに自身のある選手
3.体を張って守れる選手
である。また、クラブの方針として「30歳以上の移籍金のかかる選手は獲得しない」ということを定めたのである。
実際にドルトムントの獲得選手をみてみるとわかるだろう。
平均獲得年齢が約20歳となっており、5mユーロ以上の選手を獲得していないことがわかる。
過去の例を見ても、現在の主力選手たちが安価で獲得されていることがわかる。
DFネヴェン・スボティッチは08年に、450万ユーロ(約5億4000万円)の移籍金でマインツから加入した。
また同時期にバイエルン・ミュンヘンからやってきたマッツ・フンメルスは、レンタル契約で1年プレーした後、420万ユーロ(約5億円)でドルトムントに加入した。
また、エースであるレヴァンドフスキは480万ユーロ(約5億8000万円)で買い取った選手であった。
いま、これらの選手を獲得するには、4~5倍の移籍金を準備しなければ獲得は難しいだろう。
ドルトムントは積極的に選手を売却する傾向にもある。
09年に420万ユーロ(約5億円)でボルシア・ドルトムントに加入したFWルーカス・バリオスは、当時全くの無名選手であったが、その3年後に中国の広州恒大に移籍した際、ボルシア・ドルトムントには850万ユーロ(約10億2000万円)が支払われた。
これは、ボルシア・ドルトムントがいままで選手獲得に使った額である。(mユーロ)
2000年から、積極的に選手獲得に投資をしていたが、2005年に経営危機に陥り、選手を放出して経営を保ってきたため、2005年から2007年までは選手を積極的に売却する傾向にあったということがわかる。
その後2008年以降は選手購入額が売却額を上回っていたが、年間10mユーロ程度の投資であり、他のクラブと比較するとその差は歴然である。
他のヨーロッパトップクラブは、この3年間での選手購入額が大きく売却額を上回っていることがわかる。一番下のボルシア・ドルトムントがどれだけ経営健全を徹底しているかがわかるだろう。
そんなこともあり、ボルシア・ドルトムントは毎年、収益を伸ばしているのだ。
入場料収入の大きな変化は見られないが、広告料収入と放映権料収入は大きく伸びていることがわかるだろう。
入場料収入に大きな変化がないのは、ドイツのクラブのチケット価格が他のリーグに比べて安く設定されているためである。
これは、ボルシア・ドルトムントのチケット料金である。
あまり日本と変わらない価格設定になっていることがわかるだろう。ボルシア・ドルトムントのホームスタジアムであるズィグナル・イドゥナ・パルクは世界で最も平均観客数が多いスタジアムである。
ここ10年での平均観客数は7万5000人となっており、毎年ほぼ満員のスタジアムとなっていることがわかる。
他のリーグのクラブと比較すると入場料収入においては大きな差があるが、広告料収入においてはアーセナルよりも大きな比率となっていることがわかる。
ドルトムントの広告料収入は世界でも5番目に多い。
その理由には、やはり安定した観客数があるだろう。
観客数が多いことは、スタジアムの場内看板の価格を引き上げることになる。それは、多くの人にその広告看板を見てもらえる可能性があるからだ。
つまり、ボルシア・ドルトムントは、平均観客数を多くすることで、毎試合満員のスタジアムを作ることで、広告の価値を上げているということである。
そんなこともあり、現在のフットボールマネーリーグでは、ドルトムントは11位に上昇したのである。
今シーズン、チャンピオンズリーグに出場し準優勝をしたため、莫大な金額の賞金を手にすることができるだろう。
今シーズンのドルトムントの収益は前年に比べ上昇することは確実で、来年のマネーリーグにおいてトップ10入りする可能性が高い。
今夏での、MFマリオ・ゲッツェの売却が決まり、またレヴァンドフスキなどの移籍話も絶えないが、ユルゲン・クロップは、既に若手有力選手を毎年獲得してきているためそれらの選手が来シーズン活躍する可能性、また選手を売却した際に発生した移籍金を利用して、新たな選手を獲得し選手強化に努めるだろ。
ボルシア・ドルトムントが起こした奇跡は、クラブの方針とサポーターの支えがあって実現できたものであり、そしてユルゲン・クロップという「魔法使い」がいたことで成り立ったことだろ言えるだろう。
これからのボルシア・ドルトムントにも注目だ!!
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