2014年6月30日月曜日

フットボール・ファイナンス(2012/13)

欧州サッカー市場は年々、その規模が拡大している。
2012/13シーズンの欧州ビッグ5リーグの総収入額は、前年度に比べて5%アップし、9.8billionユーロとなった。欧州全体のサッカー市場は19.9billionユーロとなっており、前年度に比べて2%アップした。


プレミアリーグ(イギリス)は、総収入額2.9billionユーロとなっており、2位のブンデスリーガ(ドイツ)に比べて900millionユーロも多く収入を得ているのだ。
サッカークラブには3大収入源となるものがあり、「入場料収入」「放映権料収入」「広告料収入」となっている。
5大リーグの中でブンデスリーガ以外のリーグが「放映権料収入」が最も割合の高い収益源となっている。その代わりに、ブンデスリーガは「広告料収入」の割合が46%で最も高い割合となっている。


リーガエスパニューラ(スペイン)は、2012/13シーズンから新契約が始まったため、放映権料収入が増加した。しかし、景気の停滞などもあり、「入場料収入」「広告料収入」に関しては、減収であった。
今後については、プレミアリーグとブンデスリーガは、2013/14シーズンからの新放映権料契約を結んだため、2つのリーグとその他のリーグ間により大きな差が生まれると予想される。



ブンデスリーガは、その他のリーグに比べて強固なコストコントロールを行っている。
これは、クラブが選手に支払っている総人件費である。最も人件費が高いのはイングランドとなっており、2.1billionユーロとなっている。ブンデスリーガに関しては、1billionユーロとなっているが、総収入に対する人件費の割合が51%ととなっており、他のリーグに比べて人件費の割合が低くなっている。非常に厳しい独自のクラブライセンス制度を導入しているのが功を奏した形だ。最も高いのがプレミアリーグとセリエAとなっており、71%であった。

リーガエスパニューラは、1999/2000からこれまでの中で最も人件費の割合が低い数値となり、56%となった。レアルマドリードとバルセロナの人件費割合は48%まで上昇したが、それ以外のクラブは66%まで減少したことが影響したと考えられる。
もちろんUEFAが導入したファイナンシャル・フェアプレーが欧州サッカークラブに対して経営の改善をもたらしたとも考えられるだろう。今後は、さらに厳しくなるファイナンシャル・フェアプレーに対して対応していくことが求められる。

【欧州サッカー市場の発展】


欧州サッカー市場は、毎年その規模を大きくしており、2012/13シーズンにおける欧州5大リーグの市場規模は、5%上昇し、9.8billionユーロとなった。つまり、欧州サッカー市場の半分の割合をこの欧州5大リーグのトップディビジョンリーグだけで構成しているのだ。


2012/13シーズンにおける欧州5大リーグの総収入額は、過去最高額を記録した。そして、プレミアリーグとブンデスリーガの新契約が始まる2013/14シーズンには、5大リーグの総収入額が約11billionユーロに達すると予想されている。



これは、その年のリーグ順位とリーグ全体総収入額に対するクラブの収入額の割合である。プレミアリーグに関しては、首位チームがリーグ全体の総収入額の14%となっており、最も割合が低かった。1位と2位のクラブの割合が最も高かったのはリーガエスパニューラとなっており、2チームを合わせるとリーグ全体の半分以上である54%もの収入を上げていることがわかる。
また、リーグ・アンに関しては、パリ・サンジェルマンが非常に大きな割合を占めていることがわかる。パリ・サンジェルマンは、リーグ・アンの総収入額の31%を占めており、リーグ・アン全体の総収入額に大きく貢献していることがわかる。


これは欧州5大リーグの収入構成を表している。

これは、欧州5大リーグの平均観客数を表している。

【プレミアリーグ】
プレミアリーグの総収入額は165millionポンド(7%)増収となり、2525millionポンドであった。しかし、スターリング・ポンドの価値が低下したためユーロに換算すると1%の増収であった。2012/13シーズンにおけるプレミアリーグクラブの収入増加に貢献したのは「広告料収入」と考えられる。「広告料収入」の割合が全体の30%ととなっており、これは2000/01シーズンから現在までで最も高い割合となった。
201314シーズンには、全ての収入源が欧州で最大となると見込まれている。



【ブンデスリーガ】
ブンデスリーガは、唯一、欧州5大リーグの中で「放映権料収入」の割合が1位ではないリーグである。「広告料収入」「その他」は1年間で5%アップした。
また、このシーズンは初めてドイツ勢同士のチャンピオンズリーグ決勝となり、UEFAからの収入が42millionユーロも増収となった。
DFLは2013/14シーズンから放映権料の新規契約を結んでおり(2部も含む)、毎年628millionユーロの放映権料収入が入ることとなる。これまで、ブンデスリーガは低価格のペイチャンネルなどで放送していたため、5大リーグの中で「放映権料収入」が最も少ないリーグであったが、それが変わろうとしているのである。
バイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムント、フライブルクの平均観客数は減少したものの、「入場料収入」に関しては、28millionユーロの増収となった。



【リーガエスパニューラ】
リーガエスパニューラには2大クラブが存在しており、リーグ全体の半分以上をこの2クラブの総収入額が占めているのである。
しかし、近年の傾向としてレアルマドリードとバルセロナの増収額が6millionユーロ出会ったのに対し、リーグ全体の増収額が77millionユーロとなったのは、リーガエスパニューラ全体にとって非常に良かったことと言えるだろう。リーグ全体の54%を依然として2大クラブが占めているが、これは前年度に比べ、割合が下がってきているのだ。
しかし、スペイン経済の影響もあり入場者数は減少、そして「入場料収入」が減少しているのも事実である。
その対策として新スタジアムを建設するクラブも多く出てきており、アスレティック・ビルバオやアトレティコ・マドリード、またレアルマドリードやバルセロナも検討している。



【セリエA】
セリエAは欧州5大リーグの中で最も放映権料収入に依存しているリーグとなっており、前年度より3%アップし59%も放映権料に依存しているのだ。
セリエAは現在、年間975millionユーロもの放映権料収入を手にしているが、新契約により990millionユーロとなると言われており、欧州で2番目に高額の放映権料収入を手にすることになる。
しかし、「入場料収入」は5%の減収となっており、セリエAでは入場者数の減少が大きな問題となっている。そこで、多くのクラブは独自のスタジアムを保有することを計画しており、ユベントスのユベントススタジアム完成に続き、ASローマが新スタジアムの計画を発表しており、2016/17シーズンから52500人収容の新スタジアムを300millionユーロで建設予定となっている。



【リーグアン】
リーグ・アンの総収入額の増収に関しては、パリ・サンジェルマンが最も貢献しているだろう。オイルマネーがその国のリーグにもたらした例として挙げられるだろう。
多くのスター選手を獲得し、ホームゲームだけでなくアウェーゲームにおいても観客数を増加させることに成功したのだ。
しかし、リーグアンは2012/13シーズンより、それまでの放映権料よりも安い金額で契約を結んだため、年間7%放映権料収入が減少した。



【その他】


欧州5大リーグ以外のリーグは、国によって異なる収入構成となっている。
ロシアフットボールプレミアリーグは、5大リーグ以外で最も収益を上げているリーグとなっており、前年に比べて260millionユーロも増収となった。2018年にワールドカップが開催されるロシアにとって、国内リーグの繁栄は非常に重要なものとなり、近年の急激な成長により、欧州5大リーグに近づいているのである。



トルコリーグも前年度に比べて増収となった。前年度に比べて24%アップとなり551millionユーロとなった。主な収入源は「放映権料収入」となっており、放映権料収入額は欧州で6番目に高額となっている。
エール・ディビジ(オランダ)に関しては、「入場料収入」と「広告料収入」は減収となったが、「放映権料」の増収が影響し、リーグ全体の総収入額は増収となった。
2013/14シーズンからは、FOX International Channel'sでの放送が決まっており、今後も放映権料収入が増収すると見込まれている。



Premier League 2012/13

サッカークラブにとって、勝利を目指すことも当然重要ではあるが、1つのリーグ、もしくはクラブ(会社)として成功することも非常に重要となっている。



オイルマネーを使ってクラブを成長させ規模を大きくさせるクラブもあれば、クラブの経営状況を再優先し、投資を少なくする、もしくは高額年俸の選手との契約を制限したり、30歳以上のプレーヤとは1年契約しかしないなど、様々な方針をとっているクラブがサッカー界には存在している。



これは、2012/13シーズンにおけるサッカー選手の収入ランキングである。
1位は当時ロサンゼルス・ギャラクシーに所属していたデイビッド・ベッカムとなっており、その額は36millionポンドとなっていた。それに次いで、アルゼンチン代表でバルセロナ所属のFWリオネル・メッシであった。



そして、これは各選手の収益源である。1位のデイビッド・ベッカムは収入の殆どがスポンサー収入となっているが、4位のサミュエル・エトー(当時:アンジ・マハジカラ)は、ほとんどがクラブから支払われる給料となっており、ランクインしている選手の中では、最もサッカークラブからの年俸が支払われている選手であった。



これは、2012/13シーズンにおける各国トップディビジョンリーグの総人件費である。
1位はプレミアリーグとなっており、2.1billionポンドであった。
総収入当たりの人件費に関しては、ブンデスリーガが最も低く51%となっており、最も割合が高かったのはプレミアリーグとセリエAであった。


2012/13シーズンに最も収益をあげたリーグは、1位がバークレイズ・プレミアリーグであり、その額は2.9billionポンドであった。(前年度比+1%)
その他のリーグについては、以下のとおりである。


2位に、ドイツのブンデスリーガ、3位にスペインのリーガエスパニューラ、4位にイタリアのセリエA、5位のフランスのリーグアンとなった。
このなかでリーグアンは前年度比で14%の成長を見せ、5大リーグの中で最も成長したリーグとなった。


さて、ここからはプレミアリーグの各クラブについて述べていこう。
最も収益をあげたクラブはマンチェスターユナイテッドとなっており、その額は363.1millionポンドであった。前年度より13%の増収であった。
マンチェスター・シティ、チェルシー、アーセナルがマンチェスターユナイテッドについで、上位となっていた。



下位に関しては、ウィガン・アスレティックが最も少なかったが、58.4millionポンドとなっており、Jリーグで最も収益をあげているクラブよりも収入を得ていることがわかった。
プレミアリーグクラブの主な収入源として、「入場料収入」「広告料収入」「放映権料収入」が存在しているが、下位クラブにとって「放映権料収入」が最も大きな収入源となっており、その影響で2部から昇格したクラブに関しては、2部時代の約4倍の収益を得ることができていた。


これは、プレミアリーグクラブの人件費である。マンチェスター・シティが最も人件費がかかっており、233.1millionポンドとなっていた。
J1に所属するクラブの総人件費が約250億円となっており、マンチェスター・シティの人件費だけでJ1クラブの総人件費よりも大きい金額であることがわかる。


これは、2012/13シーズンにおける勝ち点と総人件費の関係である。
人件費を多く払っているクラブは、それにともなった成績を上げていることがわかり、プレミアリーグで優勝するためには、優れた選手を集めることが有効的であることがわかる。

既にマンチェスターユナイテッドは、アスレティック・ビルバオからMFアンデル・エレーラ、サウサンプトンからDFルーク・ショーの獲得を発表しており、この2選手だけで約100億円の移籍金を支払ったのである。その他にも、新指揮官として現オランダ代表のファンハールが就任することが決まっており、マンチェスターユナイテッドのオランダ化が進む可能性が高くなっている。オランダ代表DFデ・フライ(フェイエノールト)、MFダレイ・ブリント(アヤックス)、MFスナイデル(ガラタサライ)、FWアリイェン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)らも候補として挙がっている。


チェルシーは、元アーセナルのキャプテンであるセスク・ファブレガスの獲得を発表し、ユベントスに所属するMFポール・ポグバらの獲得も現在視野に入れていると報道されている。

昨シーズン惜しくも2位となったリバプールは、ウルグアイ代表FWルイス・スアレスの売却が間近となっており、新たなエース探しに奔走している。スティーブン・ジェラードの後釜も必要となるだろう。
アーセナルは、今夏フリーでGKルカシュ・ファビアンスキがスウォンジー・シティへ、DFバカリ・サニャがマンチェスター・シティに移籍した。また、MFミケル・アルテタのアスレティック・ビルバオ加入や、DFトーマス・ヴェルマーレンのマンチェスターユナイテッド加入が囁かれており、新たな才能の発掘は必須だろう。


新たにkitスポンサーとしてプーマと巨額の契約を結んだアーセナルは、今シーズン約100億円を投資するとみられており、右サイドバックにはコートジボワール代表DFのセルジ・オーリエーが、その他には、チリ代表MFアルトゥーロ・ビダルや、FWアレクシス・サンチェス、サウサンプトンMFのモルガン・シュナイデルランなども候補に挙がっている。最注目は、イタリア代表FWのマリオ・バロテッリだろう。プーマとスポンサー契約を結んでいるバロテッリの獲得に対して、新スポンサーであるプーマの後押しもあり、交渉がまとまる可能性が高くなっている。


2014年6月29日日曜日

FIFAワールドカップ〜アトレティコ旋風〜

現代サッカーにおいて、大きな勘違いが存在している。
それは「ボール支配率が高いチームが強い、もしくは勝てる」と言った考えだ。
これまでのサッカー界においてFCバルセロナが魅せたサッカーは美しかった。世界中のクラブがバルセロナのようなサッカーに憧れ、目指した。
しかし、今シーズン、そのサッカーを打ち破る戦術が”エスタディオ・ビセンテ・カルデロン”で輝いた。


そのチームは、現役時代「ファウルも厭わない激しい”削り”でマーカーを震え上がらせるだけでなく、時に対戦相手のキーマンに挑発行為を繰り返して退場に追い込むことも涼しい顔でやってのけた」ディエゴ・シメオネ監督が率いるアトレティコ・マドリードだ。



「ファウル数が増え、ポゼッションは低くなったかもしれない。しかし結果として試合に勝てば、ファンは”戦うチーム”という印象を持ってくれる。今までのチームには何かが欠けていた。それが戦う姿勢とインテンシティだった。」(ディエゴ・シメオネ)


例えばコロンビア代表で現モナコFWのファルカオは、アトレティコ・マドリード在籍時、それまでゼロだった警告を4試合連続で受けるほどチェックの激しさが増し、ヴォルフスブルクで問題児とされたジエゴもトップ下で自由に動くのは攻撃時のみで、守備時は速やかに右サイドに戻ってプレスに参加するようになっていた。


こうした意識の変化により、それまで16試合で計261回(1試合平均16.3回)だったファウル数はシメオネ就任後の6試合で128回(1試合平均21.3回)に増加。1試合平均3.25枚だった被警告数も平均4枚に増えた。一方で、対戦相手の枠内シュート数は1試合平均2本に抑えることに成功したのであった。


ブラジル大会で結果を残しているチームの幾つかには「ある共通点」がある。
それは「ボール支配率」である。

現代サッカーにおいて、最もお手本とされてきたバルセロナの"Tiki Taka"があった。

バルセロナは、圧倒的なボール支配率と華麗なパスワークで数多くの栄光を手にしてきた。元バルセロナの監督であり、現バイエルン・ミュンヘンの監督であるペップ・グアルディオラはバルセロナで魅せたサッカーを国を、チームを変えて再び披露してみせたのだった。リーグを圧倒的な力で優勝し、連覇は達成できなかったがCLも順当に勝ち上がった。

今年度のバルセロナの成績にも現れているように、"TikiTaka"対策をほぼ完璧に成し遂げたアトレティコ・マドリードが、リーグ優勝を成し遂げ、またCLでも準優勝を果たすなど、"TikiTaka破り"を披露してみせたのであった。

「我々が臨むのは、アグレッシブで激しく、勇敢に戦い、スピーディーなカウンターを武器とするチーム」(ディエゴ・シメオネ)



今大会の傾向として、ボール支配率が低いチームが勝ち進んだ。例えば「コロンビア」。
中盤には、MFハメス・ロドリゲス(モナコ)、MFクアルダード(フィオレンティーナ)を揃え、また最前線にはFWグティエレス(リーベル・プレート)やジャクソン・マルティネス(ポルト)など豪華なメンバーが控えている。



これだけのメンバーを揃えていれば、ボールを支配して"TikiTaka"を目指すことはできた。
しかし、名将ペケルマンが選択したのが、アトレティコ・マドリードのような「高速カウンター」サッカーであった。


日本代表戦でみせたMFハメス・ロドリゲスの高速カウンターが良い例だ。
相手にボールを支配させ、ラインが高くなったDFラインの裏を積極的に狙うサッカーだ。
日本代表を応援していたサポーターは「この試合いけるぞ」「ボールを支配できている」と見ていたかもしれない。しかし、これは「ボールを持たされている」という表現が正しいだろう。

戦術として引くことが「ださい」「つまらない」という考えをする人もいるが、サッカーにおいて最も重要な事は「勝利」である。
勝利をするための手段として、「神の手」「意図的に手でのシュートストップ」「退場させる(頭突き)」など多くのプレーヤーが様々な手段を使ってきた。
「勝利」を手に入れるために。



スペイン代表のようなサッカーを目指した日本代表は、ボールを支配するという「手段」だけに注力し、サッカーにおいてもっとも重要なことを忘れていた。

日本のサッカー文化と世界のトップレベルのサッカー文化との間にも、大きな差を発見することが出来た"価値のある敗退"であった。



2014年6月12日木曜日

マンチェスター・ユナイテッド大改革



新監督として招聘されたファン・ハールはオランダ人を重用する傾向にある。つまり現在のオランダ代表でもキャプテンを任せるなど絶大な信頼を置いているファン・ペルシーにとっては朗報なのである。

システムはアンカーを用いた4-1-2-3を採用することが予想されている。もちろん、3トップのセンターフォワードにファン・ペルシーを固定するだろう。

 これまで絶対的なエースとしてチームを牽引してきたイングランド代表FWルーニーは、ウイングやセントラルミッドフィールダーなど他のポジションで起用される可能性が高いが、本人はセンターフォワードでの起用を望んでいるため、問題に発展する可能性がある。また、香川真司にとっても非常に厳しい状況となったといえるだろう。これまで左サイドやトップ下、セントラルMFでの多かったが、獲得が噂される選手たちは、セントラルMFのスペシャリストがリストアップされており、出場機会が激減する可能性が高いのだ。

それでは今夏で獲得候補、また放出候補にあがっている選手たちにフォーカスしてみよう。
【獲得候補】
1.ポール・ポグバ(ユベントス)

2年前にフリーでマンチェスター・ユナイテッドからユベントスに加入したMFポール・ポグバ。セリエA王者に欠かせない存在とまで成長したフランス代表MFの再獲得に興味を示しているマンチェスター・ユナイテッドだが、約60mポンドとも言われている移籍金を支払う必要があるだろう。ユベントスにとって、フリーで獲得した選手を高額の移籍金で売却することが出来る絶好の機会でもあるため、好条件のオファーが届き次第売却の可能性も高い。

2.ルーク・ショー(サウサンプトン)
18歳でイングランド代表デビューをしたサウサンプトンの左サイドバックには、マンチェスター・ユナイテッドだけでなくチェルシーなども興味を示している。足元の技術、また攻撃だけでなく守備にも定評のあるルーク・ショーが新天地として選ぶクラブはどこになるのか。それともセント・メリーズ・スタジアムに残るのか。今後に注目だ。

3.ケビン・ストロートマン(ローマ)

2013年夏にローマに加入したオランダ代表MFケビン・ストロートマン。ローマに移籍する際には、ACミランやマンチェスター・ユナイテッドも興味を示していたが、新天地としてASローマを選択した。アウダイールを称えて欠番となっていた背番号6を選択したため、波紋を呼んだが、その背番号に恥じぬ活躍をしてみせた。ワールドカップは負傷のため欠場となるが、現オランダ代表監督がマンチェスター・ユナイテッドの新指揮官として就任するため、オランダ代表MF獲得を熱望することは間違いないだろう。28mポンド前後のオファーが来れば、ローマも手放す可能性があるため、今夏での獲得の可能性もあるだろう。
4.セスク・ファブレガス(バルセロナ)
スペイン代表MFはアーセナルから念願のバルセロナ復帰を果たした。しかし、アーセナルで見せた輝きをバルセロナで見せることは出来なかったかもしれない。同僚であるDFジェラール・ピケがセスクの移籍合意を漏らすなど、今夏での移籍は確実と予想されている。古巣であるアーセナルはオプションとして持っていた「買い戻し」を行使しないと予想されており、イングランド復帰を目指すセスク・ファブレガスは、他のビッグクラブに加入すると予想される。チェルシーと合意しメディカルチェックも既に終了していると報道もされているが、まだなにが起こるかわからない。

5.バスティアン・シュバインシュタイガー(バイエルン・ミュンヘン)

バイエルン・ミュンヘンの中心選手にまで成長したドイツ代表MFには移籍の可能性はあるのだろうか。2004年からドイツ代表に選出され、既に代表キャップ数は100となった。09-10シーズンからセントラルMFにコンバートされ、更に才能が開花。現在では、世界でもトップクラブのセントラルMFとなった。10mポンド(約17億円)程度での獲得が可能と報道されているため、他クラブが獲得に動く可能性も高い。
6.マッツ・フンメルス(ボルシア・ドルトムント)

世界最高のセンターバックの一人と言われるドイツ代表DFマッツ・フンメルスは、来シーズンどこのクラブのユニホームを着ることになるだろうか。マンチェスター・ユナイテッドだけでなく、バルセロナなども興味を示しており、バルセロナ移籍が合意したとの報道もされた。リオ・ファーディナンド、ネマニャ・ヴィディッチを失ったマンチェスター・ユナイテッドにとって、センターバックの補強を必須であり192cmのドイツ代表DFを獲得することができれば、来シーズンは上位を狙える可能性も出てくるだろう。

7.エディソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)


ウルグアイ代表FWエディソン・カバーニはパリを離れるのだろうか。2013年夏にパリ・サンジェルマンに加入し、昨シーズンは29試合で16ゴールという成績を残した。ナポリ時代には104試合で78ゴールをあげたゴール量産機に対して、既に56mポンドの移籍金を提示したとも報道されており、ロビン・ファン・ペルシー、ウェイン・ルーニー、エディソン・カバーニの豪華3トップが誕生する可能性も見えてきた。

8.アレクシス・サンチェス(バルセロナ)
毎年、獲得候補として挙げられているチリ代表FWアレクシス・サンチェスは、今夏にカンプ・ノウを離れる可能性があるようだ。移籍金は25mポンド程度となっており、マンチェスター・ユナイテッドだけでなく、アーセナルやリバプール、またユベントスなども獲得に名乗りを上げており、獲得レースに注目だ。しかし、来季の構想に入っているとも報道されており、今後の動きに注目だ。

9.アルトゥーロ・ビダル(ユベントス)

チリ代表MFにはマンチェスター・ユナイテッドだけでなく、スペインの3大クラブが興味を示していると報道されている。ユベントスは、ポール・ポグバの慰留のための資金調達が必要であるとも報道されているため、高額のオファーが届けば売却の可能性も高くなるだろう。安定したセントラルMFを確保したいマンチェスター・ユナイテッドにとって、アルトゥーロ・ビダルは救世主となる存在だと言えるだろう。

その他
DF:エセキエル・ガライ(ベンフィカ)
DF:ブルーノ・マルティンス・インディ(フェイエノールト)→獲得濃厚??
DF:マティアス・ギンター(フライブルグ)→ドルトムント??アーセナル??
MF:マルコ・ロイス(ボルシア・ドルトムント)→バルセロナ??
MF:アントワーヌ・グリーズマン(レアル・ソシエダ)→アーセナル??リバプール??
FW:アレッシオ・チェルチ(トリノ)→リバプール??


【移籍候補】
1.ハビエル・エルナンデス(市場価値:15mポンド)

メキシコ代表FWは今夏、オールドトラフォードを離れることとなるだろう。獲得候補として上がっているパリ・サンジェルマンのFWエディソン・カバーニの獲得が決定すれば、放出確実だろう。既にインテル・ミラノなどがチチャリートの獲得に手を上げているため移籍先には困ることはないだろう。昨シーズンは加入してから最も少ないリーグ戦22試合出場にとどまったが、10ゴールを決めるなど抜群の得点能力は健在だ。ワールドカップで活躍すれば、チチャリートの市場価値も高まり、マンチェスター・ユナイテッドにとっては、絶好の売却の機会となるかもしれない。

2.アンドレス・リンデゴーア(市場価値:3mポンド)
デンマーク人GKにとってマンチェスター・ユナイテッド加入後は非常に厳しい戦いとなった。正ゴールキーパーの座を争っていたスペイン代表GKダビド・デ・ヘアとのレースに敗れ、昨シーズンはリーグ戦1試合のみの出場となった。
30歳となったリンデゴーアにとって出場機会を求めることは当然のことであると予想され、本人が移籍を希望すると予想される。

3.ルイス・ナニ(市場価値:12mポンド)

ポルトガル代表ウインガーはマンチェスター・ユナイテッドを去ることができるのだろうか。ファーガソン政権のときは、UEFAチャンピオンズリーグ決勝にスターティングメンバーとして出場するなど絶対的な地位を手にしつつあったが、近年は出場機会に恵まれずベンチを温める機会が多くなった。しかし、新たに招聘されたルイス・ファン・ハール監督の構想に入っており、ユベントスからのオファーを断ったとも報道されている。ワールドカップでの活躍次第では、他の強豪クラブが獲得に名乗り出る可能性もあるため、今後の動きに注目だ。

4.アシュリー・ヤング(市場価値:10mポンド)
29歳を迎えるイングランド代表MFは、かつてヴィラ・パークで見せた「輝き」をオールド・トラフォードで見せることが出来なかった。代表キャップ数30を越えるアシュリー・ヤングにとって、オールド・トラフォードでのベンチ生活に満足はしていないだろう。また、サポーターからの信頼も失いつつあるヤングにとって、マンチェスター・ユナイテッドに残留することは望まれていないだろう。今夏での移籍はほぼ確実か。

5.マルアン・フェライニ(市場価値:15mポンド)
27.5mポンドという高額な移籍金で、エバートンFCから加入したベルギー代表MFは放出されるだろう。その金額に見合った活躍をすることが出来ず、また新監督の構想には入らないことが予想される。中盤の獲得候補には、ドイツ代表MFトニ・クロース(バイエルン・ミュンヘン)、オランダ代表MFケビン・ストロートマン(ローマ)、チリ代表MFアルトゥーロ・ヴィダル(ユベントス)、ドイツ代表MFシュバインシュタイガー(バイエルン・ミュンヘン)、スペイン代表MFセスク・ファブレガス(バルセロナ)が挙がっており、その獲得資金として売却されることが予想される。

6.香川真司(市場価値:12mポンド)
ボルシア・ドルトムントから加入した日本代表MFは、加入後のファーガソン政権の時には多くの出場機会を得て、ハットトリックを記録するなどまずまずのシーズンを過ごすことが出来た。しかし、昨シーズンの指揮官からは満足する出場機会を得ることが出来なかった。新監督が採用するシステムには適していないと予想され、放出される可能性が高まっている。しかし、昨シーズン後半にはセントラルMFとしてもプレーしており、バックアップメンバーとして起用される可能性もある。出場機会を求めて移籍するのか、それとももう1年オールド・トラフォードでスタメン争いをするのか。ワールドカップ後の決断にも注目だ。移籍候補には、古巣のボルシア・ドルトムントやインドネシア人実業家に買収されたインテルミラノなども挙がっている。

7.アンデルソン(市場価値:8m)

昨シーズン、ブラジル人MFはイタリアのフィオレンティーナに出場機会を求めて、短期ローンで加入した。しかし、出場試合数は2試合にとどまった。マンチェスター・ユナイテッドには、彼の居場所はなく、放出されることは避けられないだろう。22mポンドでポルト(ポルトガル)から加入したアンデルソンはその価値に見合った活躍はできなかったと言えるだろう。