2013年6月30日日曜日

Manchester City

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事の発端は、2008年にマンチェスター・シティをアブダビの投資家グループが買収したことから始まった。
新オーナーとして地球上で最もお金を持っている人物の一人がいる。またチェアマンとしては世界で最も聡明な若きビジネスマンがいる。

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その名は、シェイク・マンスール・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーンである。
彼はアブダビを統治している君主家のいち員であり、彼の19人の兄弟の中にはアラブ首長国連邦の大統領や皇太子も含まれているのである。ナヒヤーン家の資産額は5600億ポンドとなっている。もちろん、ナヒヤーン家の資産は石油の賜である。

また、それだけでなくシェイク・マンスールはドバイの支配者の娘と結婚しているため、完璧なコネを持っているのである。

さらに、それだけでなくシェイク・マンスールはアラブ首長国連邦の閣僚で、国務補佐省大臣でもあるのだ。また、スポーツに深い愛情を注いでおり、アル・ジャジーラ・クラブの会長であり、なおかつアラブ首長国競馬局の会長でもあるのだ。

このように、まずマンチェスター・シティを買収した投資家グループが様々な知識を持ち、また強力なコネを持ち合わせていることがわかっただろう。

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【選手編】


さて、これまでにマンチェスター・シティがどのように選手獲得に投資してきたのかをまとめてみよう。


移籍金総額
これは、シェイク・マンスールがマンチェスター・シティを買収してから、投資した移籍金額をまとめたものである。
買収してからの3年間は、毎年100mポンド以上を投資していることがわかる。
2012/13シーズンは、FFP(ファイナンシャル・フェアプレー)の事も考え、投資額が減少したが、54mポンドを投資した。
それでは、どのような選手を獲得し、選手獲得にどれだけ使ったのかを選手別に見てみよう。

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08/09シーズン
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09/10シーズン
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10/11シーズン
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11/12シーズン
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12/13シーズン
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このように、世界のトップクラスの選手を毎年獲得することで、チーム強化をしプレミアリーグの優勝を成し遂げるとともに、知名度の向上にも取り組んでいるのである。


【ビジネス編】

マンチェスター・シティは、2012年9月14日に巨大練習場の建設を開始した。
マンチェスター・シティは、アカデミー施設の充実を目的とし、ホームスタジアムであるエティハドスタジアムに隣接する場所に、16.5面のサッカーピッチ、ユースチーム向けのスタジアム(収容人数7000人)、トップチームも使用予定の最先端トレーニングセンターや宿泊施設がこの施設内に建設されるのである。
その総工費は2億ポンド(約251億円)と言われており、完成予定は2014年となっている。



それだけではない!!

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5月22日のニュースだが、マンチェスター・シティはニューヨーク・ヤンキースが、ニューヨークを本拠地とするチームを作り、MLSに参加することが決まったのである。
http://www.nikkansports.com/soccer/world/news/f-sc-tp3-20130522-1130935.html
マンチェスター・シティとヤンキースには、様々な目的があると考えられるが、マンチェスター・シティが積極的にサッカービジネスを世界中に展開していくことは、その国にとって大きな財産になるだろう。

いままで、マンチェスター・シティは「金満クラブ」として世界中で認識されているが、「金満」という括りだけで評価をするのは間違いである。
マンチェスター・シティは、選手育成に投資しすることや、アメリカというスポーツビジネスが盛んな土地で、最も人気のあるクラブの一つであるニューヨーク・ヤンキースと提携してチームを運営することなど、マンチェスター・シティはスポーツビジネスの最前線を突き進もうと計画していることがわかる。

マンチェスター・シティが今後どのようなビジネスを計画しているのかは、スポーツ界に大きな影響をおよぼす可能性があるため是非、注目してもらいたい。




参考:Manchester Evening New(イングランド)2008年9月22日

パラシュートペイメント

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2012/13シーズンが終わり、プレミアリーグのクラブは積極的に補強に動いている。
その中でも積極的に動いているのはリバプールだろう。

セルタ・デ・ビーゴからFWイアゴ・アスパスを獲得し、シャフタール・ドネツクのFWヘンリク・ムヒタリアンやアヤックスのMFクリスティアン・エリクセンの獲得にも興味を示している。


今回は移籍の話はさておき、プレミアリーグには「パラシュートペイメント」というものがあるのはご存知だろうか?
今シーズンの対象クラブとなるのは、QPR,レディングそしてウィガンである。
クラブ名を聞いただけでだいたい理解された方も多いだろう。
「パラシュートペイメント」とは、降格クラブを救済するためのシステムである。

プレミアリーグは、巨額な放映権料を得ているのがご存知であろうか。

図1

プレミアリーグの放映権料は、国内だけでなくアジアなど世界各国に販売されているため、このような巨額な収入がプレミアリーグにはあるのである。

図2


また、その分配方法は

1.PLシェア
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TV放映権料及びスポンサーシップ料
各クラブが一律3,170万ポンド(約41億円)を受け取る

2.メリットマネー
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20位でシーズンを終了した場合、そのクラブには75万6千ポンド(約1億円)が与えられる
それから順位が1つ挙がる毎に同額が加算される。
つまり
19位の場合:75万6千ポンド+75万6千ポンド=151万2千ポンド(約2億円)
18位の場合:75万6千ポンド+75万6千ポンド+75万6千ポンド=226万8千ポンド(約3億円)
が支払われる

3.TV生放送料
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リーグ戦1試合につきテレビの生放送料58万2千ポンド(約9千万円)
※各クラブには最低10試合分の582万ポンドの支払いが保証
生放送回数が多いクラブの場合、その回数に応じて加算額が支払われる。

これら3つを合わせたものが各クラブの放映権料としてクラブに支給されている。


このように最低でも約45億円の放映権料が得られていたリーグからの降格は、いままで抱えてきた選手に年俸が支払えなくなるため降格したクラブにとって、とても厳しい現実が待ち構えている。

しかし、そこで救済の役目を果たしてくれるのが先ほど触れた「パラシュートペイメント」である。

パラシュートペイメントは、降格した年から4年間で総額48mポンドが受け取れるシステムである。
※もし、4年間の間に昇格することができた場合は、残額が他クラブに支払われる。

いま、この「パラシュートペイメント」が再び変わろうとしている。
それは、良い方向へか。それとも、、、、、、




それは、良い方向である。
支給額が総額で約60mポンドに増額されるのである。
そのため、今シーズン降格したクラブがもし昇格することができなければ4年間で60mポンドを受け取ることができるのである。もちろん、その額だけでは、いままで抱えてきた選手を保持し続けることは難しいが、クラブの補填となることは間違いないだろう。

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しかし、それでもフットボールリーグには厳しい現実が待っている...................
いつか、フットボールリーグについて触れてみたいと思う。

2013年6月29日土曜日

Brazil

まず初めに、ブラジルサッカーのイメージはどのようなものだろうか。
テクニックがある。熱狂的なサポーター。満員のスタジアム。
そんなイメージがあるのではないだろうか。

今回は、ブラジルの中で最も収益をあげているクラブである「コリンチャンス」について述べようと思う。
図1
 これは、ForbesによるMost Valuable teams 2013である。
上位には欧州のトップクラブが並んでいる中、唯一ブラジルのコリンチャンスが世界で16位にランクインしたのである。
2012年収入内訳
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図3

これは、コリンチャンスの収入の内訳である。
TV放映権収入が1番の収益源となっており、それに次いでスポンサー収入がクラブの収益源となっていることがわかる。収入内訳の中にある「会員」とは、ファンクラブ収入、移籍料というのは選手の売却による収入のことである。
図5
5年前のコリンチャンスの収入と比較すると、すべての項目で上昇していることがわかる。その要因としては、観客数の上昇や、試合開始時間にからくりがあるからだと考えられるだろう。
図4
平均観客数は、2007年に比べ伸びたが、2011年に比べると減少傾向にあることがわかる。
その背景には、放映権料が爆発的に上昇していることが絡んでいる。

ウイークデーの試合開始はいままで夜8時だったが、グローボが独占契約すると看板番組のノベーラ(連続ドラマ)の後の時間に変更された。そのことで、ウイークデーの試合開始が夜10時に変更されたため試合が終了するのが真夜中であるため観客数が減少し、TV視聴者が増加したのである。ちなみに、グローボは3年総額で約1000億円で放映権料を購入した。
もちろん、放映権料で収入を得ることができているのであれば問題はないが、もしコリンチャンスが今後より成長するためには「観客を増やす」ということはキーワードになるだろう。
前述したForbesのトップクラブの殆どは毎試合を満員のスタジアムでプレーしている。
観戦者数とスタジアム広告収入は比例し、観戦者数の増加は収益の増加につながるからだ。
そのためブラジルのクラブはどのようにTV視聴者がスタジアムに足を運んでくれるのかを考えて行かなければいけないだろう。 

【移籍について】

ブラジルでは選手売買が盛んであるため、様々な形の移籍が存在している。
例えば日本ではあまり馴染みのない「共同保有」というシステムだ。
欧州では、イタリアで盛んに行われているがこのシステムは、選手の保有権を1つのクラブで保持するのではなく、2チームで保持するということである。


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例えば、今回サントスからバルセロナに移籍することが決まったネイマールの保有権は、以下の通りである。

図8

移籍金が総額5400万ユーロと報道されているため、今回はその値段で分配した。
サントスFCが持っていたネイマールの保有権は、45%しかなく、実際に手にできる移籍金は少なくなってしまっているのである。
これが、「共同保有」のデメリットであるといえるだろう。
高額な選手を売却した際に、100%保有している選手と45%保有している選手では、得られる金額が異なるのはご理解頂けるだろう。
また、ネイマールの保有権をネイマール自身が持っている背景としては、2011年の契約更新の際、サントスはネイマールをクラブに残留させるため、約5億円という莫大な年俸を支払うことになったが、クラブの財政事情が悪化したため、資金を得るためにネイマールの移籍の“権利”を本人に売却したということである。
それはさておき、「共同保有」のメリットとしては、若い選手に対して大金を支払うことはリスクが高いため、
半分ずつ、もしくは3分の1ずつ、4分の1ずつと共同で保有権を獲得する事でその選手が失敗した場合のリスクを分散する事ができるということが言えるだろう。
少し複雑なシステムではあるが、うまく活用出来ればサッカークラブの発展にとって重要な戦略の一つとなりえるだろう。


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これは、コリンチャンスが移籍期間中にどのくらい選手獲得に投資し、選手売却で金銭を得たかを表したものである。
2007年から2011年までのコリンチャンスは、主に選手を売って儲けを出し、その儲け以内で選手を獲得するということをやってきた。
しかし、2012年をみてもらうとわかるが、コリンチャンスは投資をするようになったのである。
この移籍金額の背景には、アレシャンドレ・パトの獲得などがあるが、前述のとおり、コリンチャンスは収入額が増えたためこのような投資が容易になったのだと考えられる。
また、ブラジル経済の発展や石油・バイオマス資源もその背景にあるだろう。


ブラジルワールドカップや、リオオリンピックを控えるブラジル。
サッカー王国として、どのような結果を残すことができるのか。もしこの大会で優勝することが出来ればブラジルでは大フィーバーになり、観客数上昇や収入の上昇など良い方向に進める可能性も秘めているため、ブラジルにとって2014年、2016年は最も重要な年の一つとなるだろう。

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2013UEFAチャンピオンズリーグ決勝戦は、ドイツ勢同士の戦いとなった。
名門バイエルン・ミュンヘンVS復活した名門ボルシア・ドルトムントの戦いとなった。
結果は、バイエルン・ミュンヘンが2-1で勝利したが、ボルシア・ドルトムントの快進撃は世界中を驚かせたのは間違いないだろう。

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ご存じの方もいるだろうが、ボルシア・ドルトムントは一時、経営危機に陥ったことがある。
2005年、株式上場をしていたボルシア・ドルトムントであったが、その経営戦略が裏目に出て120mユーロもの借金額を抱えてしまったのであった。

その際、会長、最高責任者を解雇し、赤字補填のためにスタジアムの命名権を売却したのであった。
その時に命名権を買ったのがドイツの大手保険会社である「ズィグナル・イドゥナ」であったため、スタジアムの名前が「ズィグナル・イドゥナ・パルク」となったのである。

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しかし、スタジアムの命名権売却のみでは赤字を返済できるわけもなく、多くの主力選手を売却したのであった。
そこから、ドルトムントは厳しいシーズンを過ごすことになるのだが、
転機は「現代サッカーにおける最高の監督の一人」とも呼べるユルゲン・クロップの監督就任であった。

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ユルゲン・クロップがドルトムントにやってきたのは2008年であった。
もちろん、その時点で借金を返済できていたわけではなく、リーグの有力選手を獲得してチームを強化することはできなかった。
そこで、ドルトムントは「育成」をキーワードに、若手選手を獲得することに徹したのである。
ユルゲン・クロップが選手を獲得する際に、注目する選手の特徴がある。

1.若くスタミナのある選手
2.スピードに自身のある選手
3.体を張って守れる選手


である。また、クラブの方針として「30歳以上の移籍金のかかる選手は獲得しない」ということを定めたのである。
実際にドルトムントの獲得選手をみてみるとわかるだろう。
図3

平均獲得年齢が約20歳となっており、5mユーロ以上の選手を獲得していないことがわかる。
過去の例を見ても、現在の主力選手たちが安価で獲得されていることがわかる。

DFネヴェン・スボティッチは08年に、450万ユーロ(約5億4000万円)の移籍金でマインツから加入した。
また同時期にバイエルン・ミュンヘンからやってきたマッツ・フンメルスは、レンタル契約で1年プレーした後、420万ユーロ(約5億円)でドルトムントに加入した。

また、エースであるレヴァンドフスキは480万ユーロ(約5億8000万円)で買い取った選手であった。

いま、これらの選手を獲得するには、4~5倍の移籍金を準備しなければ獲得は難しいだろう。


ドルトムントは積極的に選手を売却する傾向にもある。
09年に420万ユーロ(約5億円)でボルシア・ドルトムントに加入したFWルーカス・バリオスは、当時全くの無名選手であったが、その3年後に中国の広州恒大に移籍した際、ボルシア・ドルトムントには850万ユーロ(約10億2000万円)が支払われた。

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これは、ボルシア・ドルトムントがいままで選手獲得に使った額である。(mユーロ)
2000年から、積極的に選手獲得に投資をしていたが、2005年に経営危機に陥り、選手を放出して経営を保ってきたため、2005年から2007年までは選手を積極的に売却する傾向にあったということがわかる。

その後2008年以降は選手購入額が売却額を上回っていたが、年間10mユーロ程度の投資であり、他のクラブと比較するとその差は歴然である。
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他のヨーロッパトップクラブは、この3年間での選手購入額が大きく売却額を上回っていることがわかる。一番下のボルシア・ドルトムントがどれだけ経営健全を徹底しているかがわかるだろう。

そんなこともあり、ボルシア・ドルトムントは毎年、収益を伸ばしているのだ。
図5

入場料収入の大きな変化は見られないが、広告料収入と放映権料収入は大きく伸びていることがわかるだろう。
入場料収入に大きな変化がないのは、ドイツのクラブのチケット価格が他のリーグに比べて安く設定されているためである。
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これは、ボルシア・ドルトムントのチケット料金である。
あまり日本と変わらない価格設定になっていることがわかるだろう。ボルシア・ドルトムントのホームスタジアムであるズィグナル・イドゥナ・パルクは世界で最も平均観客数が多いスタジアムである。
ここ10年での平均観客数は7万5000人となっており、毎年ほぼ満員のスタジアムとなっていることがわかる。
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他のリーグのクラブと比較すると入場料収入においては大きな差があるが、広告料収入においてはアーセナルよりも大きな比率となっていることがわかる。

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ドルトムントの広告料収入は世界でも5番目に多い。
その理由には、やはり安定した観客数があるだろう。
観客数が多いことは、スタジアムの場内看板の価格を引き上げることになる。それは、多くの人にその広告看板を見てもらえる可能性があるからだ。
つまり、ボルシア・ドルトムントは、平均観客数を多くすることで、毎試合満員のスタジアムを作ることで、広告の価値を上げているということである。

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そんなこともあり、現在のフットボールマネーリーグでは、ドルトムントは11位に上昇したのである。
今シーズン、チャンピオンズリーグに出場し準優勝をしたため、莫大な金額の賞金を手にすることができるだろう。
今シーズンのドルトムントの収益は前年に比べ上昇することは確実で、来年のマネーリーグにおいてトップ10入りする可能性が高い。


今夏での、MFマリオ・ゲッツェの売却が決まり、またレヴァンドフスキなどの移籍話も絶えないが、ユルゲン・クロップは、既に若手有力選手を毎年獲得してきているためそれらの選手が来シーズン活躍する可能性、また選手を売却した際に発生した移籍金を利用して、新たな選手を獲得し選手強化に努めるだろ。

ボルシア・ドルトムントが起こした奇跡は、クラブの方針とサポーターの支えがあって実現できたものであり、そしてユルゲン・クロップという「魔法使い」がいたことで成り立ったことだろ言えるだろう。
これからのボルシア・ドルトムントにも注目だ!!