プロサッカークラブにとって大きな収入源の一つであるメインスポンサーの獲得は非常に重要なものである。
Repucom社は、ヨーロッパのトップ6リーグにおける年間ユニホーム・スポンサー料が20%上昇し(£85.7m)、£475millionとなった。その中でも、プレミアリーグにおいては、前年度比36%アップとなっており、2014/15シーズンでは£156millionとなった。その背景には、マンチェスター・ユナイテッドがChevrolet(GM社)とのユニホーム・スポンサー契約を締結し、年間£50mという契約を結んだことが背景にある。
Repucom社によると、ここ15年間でヨーロッパのトップリーグにおけるスポンサー契約料の増加が著しくなっており、特に海外の企業からのスポンサー契約が増加していると発表している。
プレミアリーグのクラブにおいては75%のクラブが、リーガエスパニューラに次いで第2位の海外の企業とユニホーム・スポンサー契約割合となっているのである。
特に中東の企業の投資金額はずば抜けている。今シーズンにおけるUAEとカタールからのスポンサー契約料は2カ国だけで£117.4mとなっている。
そんな中、プレミアリーグのチェルシーのユニホーム・スポンサー契約を結んだのが日本の企業である横浜ゴム株式会社(Yokohama Rubber Co., LTD)であった。5年総額約£200mの契約となっており、年間契約料は£38mとなっており、さらに成績次第で、ボーナスとして£30mが支払われるという契約である。
この金額は、プレミアリーグではマンチェスター・ユナイテッドに次いで、第2位の契約料となっている。
※エティハド航空は、売上高は掲載されていたものの、利益については掲載なし
これは、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、アーセナルのユニホーム・スポンサーの企業とその企業の売上高、そして利益である。横浜ゴム株式会社とその他の企業を比較すると売上高に関しては、エティハド航空航空とさほど変わらないことがわかる。横浜ゴム株式会社は、ここ3年間売上を増加させており、好調な企業であると言えるだろう。また、横浜ゴムはドイツのコンチネンタルタイヤの輸入元ともなっており、世界ではヨコハマタイヤとして認識もされている。
コンチネンタル社は、2006FIFAワールドカップドイツ大会で初めてオフィシャルパートナーとなり、それ以降FIFAが世界中で開催する公式試合のスポンサーとなり、2010年大会以降はオフィシャルスポンサーとなり、2014年大会もオフィシャルスポンサーとして大会を支えた。コンチネンタル社との関わりがもたらした契約であるかは分からないが、このようなつながりがあったのも事実である。
日系企業の中で横浜ゴム株式会社と同規模、もしくはそれ以上の規模である企業は多く存在しており、またその中でも様々な企業がスポンサードをしている。
例えば、TOYOTAは過去に、バレンシア(スペイン)やフィオレンティーナ(イタリア)、ベシクタシュ(トルコ)などのスポンサーをしていた。また、クラブスポンサーだけでなく、大会名のスポンサーにもなっている。クラブワールドカップはTOYOTAカップと呼ばれており、またその他ではCONMEBOLが主催する国際サッカー大会であるコパ・リベルタドーレス杯のオフィシャルスポンサーとなっており、コパ・ブリヂストン・リベルタドーレスとなっている。
しかし、近年の傾向として日系企業のスポンサー件数が減少していたことも事実である。
ビッグクラブのスポンサー料は非常に高額ではあるものの、中位、もしくは下位のクラブに関して言えば、Jクラブとさほど変わらないスポンサー料で契約を結ぶことも可能であるのである。プロサッカークラブのスポンサーをすることで、サッカーファンからの認知度があがることが期待され、その中でも世界で最も視聴者の多いリーグであるプレミアリーグのクラブのスポンサーをすることは企業にとって非常にメリットがあるものであると考えられる。
そんな中、世界のトップクラブであるチェルシーのスポンサーとなった横浜ゴムは、今後、世界中のサッカーファン、チェルシーファンの目に止まり、世界中でその企業名が見られるようになるだろう。また、ビッグクラブのスポンサーだけでなく、中位・下位クラブのスポンサーに関しても、ビッグクラブとの対戦ができるクラブであれば日本国内においても、放映される可能性が高くなるため非常にメリットのある投資となると考えられる。
また、アーセナルなどのビッグクラブのスポンサーが日系企業であったかつてのプレミアリーグの状況が再び見られる日が来るかもしれない。